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国・地域別検索エンジンの違いと対策

越境ECを展開するうえで、検索エンジン対策(SEO)は重要な集客手段のひとつです。日本では「SEO=Google対策」として認識されていますが、海外では国や地域によって検索エンジンのシェアが異なり、ユーザーの検索行動にも違いがあります。
本記事では、主要な国・地域別にどの検索エンジンが主流かを整理しながら、日本のECサイトが意識すべき基本的なSEO対策の方針を紹介します。

なぜ検索エンジンごとの違いを理解する必要があるのか?

  • 国によって「検索される場所」が異なる(例:韓国=Naver、中国=Baidu)
  • 検索結果の構成やアルゴリズムも異なるため、Googleの知識がそのまま使えない場合がある
  • 現地のユーザーに“見つけてもらう”ためには、使用されている検索エンジンの前提を理解することが不可欠

国・地域別:主な検索エンジンのシェアと特徴

国・地域主な検索エンジン特徴
アメリカ・ヨーロッパGoogle / BingGoogleが主流だがBingのシェアも一定
韓国Naver(ネイバー)Googleとは全く異なる検索結果構造。ポータル内SEOが重要(ブログ、知識iN)
中国Baidu(百度)Googleが使えない。独自アルゴリズム。ICPライセンスや中国語の正確な表現が必須
ロシアYandexローカル指向が強く、YMYL(お金・健康)ジャンルでは独自評価軸も持つ
東南アジアGoogle中心基本的にGoogleでOKだが、一部地域ではZaloなどローカルサービス経由の流入も

対応の優先順位を考える:まずはGoogle対策をベースに

海外SEOといっても、すべての国・地域・検索エンジンに対応するのは現実的ではありません。限られたリソースの中で効果を出すには、対応の優先順位を明確にすることが重要です。
  • 基本戦略としては、Googleを中心に設計されたSEO構造(HTMLの最適化、構造化データ、モバイル対応など)をベースに構築するのが効率的です。
  • BingなどGoogleと技術的互換性が高い検索エンジンには、Google対策の延長で十分対応できます。
  • 韓国のNaver、ロシアのYandexなど独自性の強い検索エンジンは、余裕があればローカル施策を補完的に加えるとよいでしょう。
  • 特に中国市場(Baidu)は、中国法人の設立やICPライセンスの取得、ホスティング環境の準備などが求められるため、本格進出を検討してから段階的に対応することをおすすめします。

Naver(韓国)への対策:Googleとは異なるSEO方針

韓国では、Naverが検索エンジンとして広く使われています。Naverの検索結果はGoogleと異なり、自社サイトのページが上位に表示されるとは限らず、ポータル内コンテンツ(ブログ、知識iN、カフェなど)が優先される傾向にあります。
そのため、以下のような施策が必要になります:
  • Naverブログでの情報発信(商品紹介、使い方、レビューなど)
  • Naver知識iNでの認知形成・質問対応
  • Naverショッピングへの掲載
Googleと同じ感覚で対策しても成果が出にくいため、Naver内の資産構築を優先する戦略が有効です。

Baidu(中国)への対策:技術・法規制の理解が不可欠

中国ではGoogleが使用できないため、検索エンジン対策はBaidu(百度)が中心となります。ただし、Baiduで成果を出すためには、他の検索エンジンと比べて技術的・法規制的なハードルが高いという特徴があります。
主な対応ポイントは以下の通りです。
  • ICPライセンスの取得が必要:中国本土でWebサイトを運用するには、中国当局からのICP備案または許可証が必要です。これは現地法人の設立が前提となります。
  • ホスティング環境:本土でのホスティングが最も安定してBaiduにインデックスされやすいとされますが、香港サーバーであればICPライセンスなしでも運用可能です。ただし、本土からのアクセス速度や接続安定性に課題が残ります。
  • HTMLベースのサイト構造:BaiduはJavaScriptのクロール能力が限定的なため、できる限り静的HTMLで構成されたページが推奨されます。
  • 中国語(簡体字)での自然な文章とキーワード設計:現地ユーザーの検索意図に即したキーワードの選定と翻訳ではなくローカライズが不可欠です。
なお、Baidu向けのSEOは中国市場に本格進出する際の中長期戦略として検討すべきものであり、準備段階の企業やリソースが限られるケースでは無理に着手しない判断も妥当です。

まとめ:検索エンジンの前提が違えば、SEOのやり方も違う

  • 海外SEOでは「どの検索エンジンに表示されるか」を決めることは重要
  • 特に中国や韓国では、検索エンジン自体がまったく違うロジックで動いているため、日本と同じ戦略では成果が出にくい
  • 対象国の検索エンジンの仕組みや文化に合わせた対応が、現地ユーザーとの接点づくりには欠かせません